第14話 久しぶりの「シャバ」刑務所から出た気分 退院しても保健所の管理下に

コロナ体験

いよいよ待ちに待った退院。午後とは聞いていましたが、ギリギリまで時間が決まりませんでした。この日も新たなコロナ患者の受け入れがあり、それが落ち着いてからと言われました。

(前回のお話)




お昼前に看護士さんから退院後の生活について説明がありました。念のため家族との生活はできるだけ別にして、できるだけ感染予防をするように言われました。入院中にテレビのニュースで「新型コロナウイルス感染患者は抗体を5カ月以上にわたり保持している」と見ましたが、退院してもまだそこまでしなくてはいけないのか・・・

またこれから4週間、毎日保健所に体調報告の義務があると言われました。そこまで管理されるのか・・・

お昼ごはんを食べて、しばらく時間をつぶし、ようやく「〇〇さん、お待たせしました、退院です」と声がかかりました。

退院は病院の正面から堂々と出られると思っていましたが、やはり行きと同じ裏口からでした。ちょっとがっかりしました。

久しぶりの外、「シャバ」の空気は、思ったより感動もなく、何も感じませんでした。

刑務所から出た時もこんな気持ちのなるのだろうか、とちょっと思ったりもしました。

入院した11月下旬は日中は暖かでしたが、あれから2週間、師走の街は晴れていても、やはり冬の冷たい風が吹いていました。

当初は散歩しながら帰ろうと思っていましたが、2週間の隔離生活で、体力は相当落ちていることを実感していました。

バスで帰りました。

自宅マンションでは誰にも会わないように、誰かとすれ違っても下を向いて歩きました。エレベーターも誰もいないことを確認してから乗り、廊下を急いで歩いてすぐに家に入りました。

2週間ぶりに今日から妻は仕事、子供達は学校に行っていたので、誰もいませんでした。

玄関に新しく買った空気清浄機が置いてあり、静かなモーター音がしました。

しばらくして長男が帰ってきました。

笑顔で「お父さん、お帰りなさい!」と迎えてくれました。

私は「迷惑をかけた、ごめんね」と言うと、後は涙が止まりませんでした。

その後長女と妻が帰宅、15日ぶりに再会した家族は、みんなに迷惑をかけた私をやさしく迎えてくれました。家族の暖かさを感じて、新型コロナウイルスという特殊な病気に、ようやく一つの区切りをつけることができました。

私が退院した後も、日本全国で新型コロナウイルスの感染者が増え続けています。一人の感染経験者として、これからもこの病気の行方に注目していきたいと思います。

私の「コロナ体験記」はこれで一旦終了します。

コロナは治っても、この屈辱的経験は一生消えない
連日各都道府県別の新たな感染者数が発表されています。私が陽性者となった2020年11月下旬、私が住んでいる県は、連日10人前後と多くはありませんでした。

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